初めて住宅ローンを利用する際、どの金利タイプを選んだらいいのか悩んでしまいますよね。世界的なインフレ傾向を受けて、日本でも固定金利型の住宅ローン金利が上昇を始めています。住宅ローンは固定金利の方が先に上がると言われていますので、変動金利が上昇するのも時間の問題かもしれません。現状、まだ変動金利には動きがないため変動金利と固定金利の金利差が拡大し、どうしても金利が低い変動金利を利用したくなりますが、単純に適用金利で選ぶのではなく、それぞれの金利タイプのメリット・デメリットを理解の上選択しましょう。
<<目次>>
●固定金利タイプ(全期間固定金利型)
●変動金利タイプ(変動金利型・固定金利期間選択型)
●固定金利が向いている人
●変動金利が向いている人
●「5年ルール」と「125%ルール」
●「5年ルール」と「125%ルール」の注意点
●「未払利息」の発生
●日頃から金利動向を注視する
●変動金利から固定金利へ借り換える
●繰上返済で元金を減らす
金利のタイプとメリット・デメリット
固定金利タイプ(全期間固定金利型)
借り入れたときの金利が完済まで全借入期間を通じて変わらないタイプです。市場金利が変動しても金利が変わらず、返済額も一定です。代表的なものに「フラット35」があります。
<メリット>
借入時に済までの返済額も確定するので資金計画が立てやすく精神的に安心できるというメリットがあります。金利上昇リスクがないため、将来的に市場金利が上昇しても返済額が増えることがありません。
<デメリット>
借入後に借入後に市場金利が低下しても返済額は減りません。一般的に変動金利よりも適用される金利が高めなので、この低金利時代の恩恵を十分に受けれず、この先何年も低金利の状態が続くと、総返済額は変動金利の場合より損をしてしまうかもしれません。
変動金利タイプ(変動金利型)
住宅ローンの金利が市場金利の動きに合わせて半年ごとに金利が見直されるタイプで、金融情勢の変化に伴い返済の途中で返済額が増えたり減ったりします。現在主流の金利タイプです。
<メリット>
通常、変動金利タイプの金利は固定金利タイプより低く設定されています。現在のように長期的に低金利が続く状況で有利なタイプです。借入後に市場金利が低下すると返済額が減少します。
<デメリット>
借入後に市場金利が上昇すると返済額が増加します。借入時に将来の適用金利が分からず、総返済額が確定しないので、返済計画が立てにくい点がデメリットと言えます。利用する際は将来の金利上昇リスクに注意が必要です。
変動金利タイプ(固定金利期間選択型)
借入当初に決めた一定期間(3年・5年・10年など)固定金利が適応されるタイプです。固定金利期間終了後は店頭金利が適用されるなど、金融機関ごとに取り扱いが異なります。こどもの学費が増加する時期が迫っているなど、一定期間返済額を固定させ家計の収支をコントロールしたい場合などに選ばれます。
<メリット>
固定金利期間中は返済額を確定できるのでライフプランにあっていればメリットのある金利タイプです。
<デメリット>
固定金利期間終了後に適用金利が上昇し、返済額が大幅に増える可能性があります。
変動金利・固定金利選ぶならどっち?
変動金利に向いている人
現在、変動金利型に超低金利が適用されており、毎月の返済額、支払う利息を抑えることができます。金利の変化に対応できる余裕資金がある家庭でしたら変動金利がおすすめです。将来的に収入増加が見込める方や、すでに貯蓄または収入に余裕がある方であれば、万が一金利が上昇しても返済額が変わる前に余裕資金で繰上げ返済でき、借入額を減らすことができるので金利の上昇にも対応できます。金利上昇のリスクはありますが、実際には低金利のままローンの支払いを終える人もいるので、リターンが大きいと考えるなら変動金利を選択するのがいいでしょう。
固定金利が向いている人
固定金利は金利の変動リスクを金融機関が取るため、変動金利に比べて高めの金利となっていますが、返済額に変動がないため計画的にライフプランを立てたい方にはおすすめです。住宅ローンの金利なんて気にせず生活したいという方に向いています。 借入期間が長い場合や借入金額が多い場合は金利上昇の影響を受けやすいので、これからお金を貯めていきたい方、将来教育費などの支出増加を見込んでいる方は、金利が上昇しても返済額が変わらない固定金利が安心です。
金利が上昇したらどうなる?
「5年ルール」と「125%ルール」
変動金利を選択して、将来的に金利が上昇したらどうなるのか、支払いは大丈夫か不安になられると思います。まず、変動金利には「5年ルール」「125%ルール」という2つのルールがあります。金利が半年ごとに見直されるのに伴って、ローン返済額も半年ごとに変わったら家計管理が大変なので、5年間は返済額が変わらないというのが「5年ルール」、どんなに金利が上昇していても返済額が1.25倍しか上がらないというのが「125%ルール」です。10万円の返済額なら5年後返済額が上がるとなっても上限は12万5000円とされています。そのため金利が上昇しても急激に負担が大きくなることはありません。
「5年ルール」と「125%ルール」の注意点
金利が更新されても返済額が変わらない「5年ルール」ですが、更新された金利は支払額の内訳(元金返済と支払利息)に影響を及ぼします。金利が上昇した場合、支払い額の中から利息の支払いに回される額が増額し、元金返済額が減少します。元金の減りが遅くなり、予定通り返済が進まなくなってしまいます。返済が遅れた分は5年後の返済額の見直しのタイミングに影響を及ぼし、次の5年は毎月の返済額が上がります。ただし5年ごとの返済額の増額は1.25倍までとする「125%ルール」があるので、次の5年の返済額を1.25倍にしても遅れが取り戻せない場合、更に5年後に遅れている分の元金返済が増額されます。
このように利が上昇する局面が続いた場合は、当初予定していたよりも利息支払いが増え、総返済額が大きくなってしまいます。借入時の金利が非常に低金利で良い条件に見られがちですが、金利が上昇傾向となった場合、返済の条件がどんどん悪化してしまうので注意が必要です。
「未払利息」の発生
金利が急激に上昇した場合、利息部分が返済金額を上回る「未払利息」が発生する場合があります。金利が上昇し続けると未払利息がたまり、たまった利息は免れる訳ではないので、翌月以降返済終了まで蓄積されていきます。場合によっては通常の返済が終わっても、未払利息分のローンが残ってしまう可能性もあります。変動金利を選ぶなら、金融機関の未払利息の精算方法も確認しておきましょう。
今後の見通し
今のところ政府・日銀は金融緩和政策を続ける方針で、短期金利の引き上げは当面なさそうだと言われています。市中金利が上がれば適用金利が引き上げられますが、変動金利型の金利もしばらくは据え置かれることになるのではないでしょうか。しかし世界的に金利が上昇するなか、日本だけが低い状態が続くと、円安がさらに深刻化してインフレが起こりかねないため、日銀の黒田総裁の任期が終了した2023年5月以降、新総裁のもとで金融緩和から引き締めに転じ、短期金利も引き上げられるのではないかという観測もあるようです。しかし、今金利を上げると中小企業はやっていけなくなる、本格的に景気が回復するまで2.3年は現在の金利が続くのではないかという専門家もいたりと、実際どうなるのか誰にも断言できません。長い目で見ればいずれは上昇するでしょう。なので、金利上昇で返済額が増額しても返済に支障がないようゆとりある返済計画を立てる、金利が上がりそうになったら固定金利に借り換える、繰り上げ返済を行うといった対策も考えておきましょう。
金利上昇への対策
日頃から金利動向を注視する
変動金利を選択する場合、返済期間中の市場金利の動向に注意しなければなりません。現状ではこれ以上の下降は考えられないため、注意すべきは金利上昇です。金利上昇が続くようであれば、早めに借り換えなどの対策を検討しましょう。短期プライムレートと10年国債の金利が上昇したのちに、住宅ローン金利は動く傾向があるためチェックしておくといいかもしれません。
変動金利から固定金利へ借り換える
市場金利の高まりが予測できた段階で固定金利へと切り替えれば、金利上昇前の金利でのローンを組めます。固定金利の金利が上がりきった後、変動金利が上がり始めた段階での切り替えでは遅いのでタイミングを見極めましょう。「借り換え」は住宅ローンの借入を最初から組み直す作業なので、新規で住宅ローンを借りる際に発生する事務手数料や保証料などの諸費用をもう一度支払わなくてはならず、健康状態によっては団体信用生命保険(団信)に入れず、借換ができない可能性もあるので注意が必要です。
繰上返済で元金を減らす
金利上昇に備えるには、繰上返済でローンの元金を減らすのが有効です。繰上返済の返済金は元金だけに充当され、かかる利息を抑える効果があります。繰上返済には返済期間が短くなる「期間短縮型」と、毎月の返済額を少なくできる「返済額軽減型」があります。金利上昇リスクに対応するなら、期間短縮型を選ぶのがおすすめです。手元資金が少ない状態で繰上返済をしてしまうと家計に余裕がなくなり、返済が滞ってしまう可能性もあるため、繰上返済をする際は将来のライフイベント資金が準備できているか、生活予備費の蓄えはあるかの確認をしておきましょう。 ※「返済額軽減型」は金融機関によっては再審査があります。毎月の返済額を減らすので、借入者の収入状態や信用情報に変化があったのではと思われるためです。手続方法や手数料も金融機関によって異なりますのでご利用の金融機関にお問い合わせください。
まとめ
住宅ローン金利は長らく低金利が続き、変動金利が有利とされてきましたが、金利だけにとらわれず各家庭のライフプランに最適なローン選びが大切です。それぞれの金利タイプの特色を踏まえ、自分に合ったローンを選びましょう。まずはお気軽にご相談ください。 家のこと、土地のこと、お金のこと、ザハウスの家づくりのこと、なんでもお聞きください。
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