近年、大雨や大雪、地震など自然災害が増えているように感じます。
そのたびに、テレビのニュースには土砂に埋まった家や浸水した町の光景が映し出され恐ろしい気持ちに。
今回は、自然災害のリスクが高い土地を知ることができるハザードマップについて、お伝えします。
<<目次>>
●ハザードマップとは?
●8種のハザードマップの特徴について
●説明が義務化された背景とは?
●水防法に基づくハザードマップとはどのようなものを指すのか?
●重要事項説明とは?
●メリット
●デメリット
ハザードマップとはなにか?が分かる基礎知識まとめ
ハザードマップとは?
ハザードマップとは自然災害による被害とその範囲を予測した地図のことです。
自然災害が発生した際に、予測される被害の範囲や程度、避難経路や避難場所などの重要な情報が地図上に示されたものであり、誰でも簡単に無料で見ることができます。
▶国土交通省が全国のハザードマップの公表状況をまとめた「わがまちハザードマップ」で確認
8種のハザードマップの特徴について
①洪水ハザードマップ
主に河川の氾濫を想定した地図のことを言うことが多く、堤防が決壊した際の浸水想定区域やその際の水深を示した浸水想定区域図に、避難場所を加えた地図のことです。
近年、ゲリラ豪雨などの集中豪雨による水害が頻発しており、短時間で河川が増水し氾濫したり堤防が決壊してしまうことも増えています。家や仕事場が浸水する水害リスクを認識し氾濫時の避難場所を確認することが大切です。
②内水ハザードマップ
内水被害とは川が雨で満杯になり、川に排水できないことで氾濫をおこしたり下水道マンホールから水が噴き出すことで、家や耕地が浸水する被害です。これに備えて浸水状況と避難行動に役立つ情報の事前確認をおすすめします。
③高潮ハザードマップ
高潮とは、台風や発達した低気圧が海岸地域を通過する際に生じる海面の高まりをいい、地震によって生じる津波とは異なります。
④津波ハザードマップ
津波災害とは、地震や火山活動などを原因として生じる大規模な波が陸地に到達して起こる被害のことです。
地震による津波の被害は「波」という言葉から想像するイメージからは程遠いものです。街全体が津波にのみこまれ水の下に沈んだケース、家は流され、バスや電車、大型船が海側から打ち上げられたケース、20m以上の高台に避難していたのに背後から回り込んだ波に流されたケース、津波が地形を駆け上がり発表された津波の高さ以上に達したケースなどもあります。 地震によって発生する津波の全てを正確に予測することは大変困難です。そのため、指定された津波災害警戒区域・津波災害特別警戒区域をインターネットで公表しています。
⑤土砂災害ハザードマップ
土石流やがけ崩れなどの危険性がある地域を示した地図。また、土砂災害(特別)警戒区域についても示されています。
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)とは、土砂災害防止法に基づき指定された「土砂災害のおそれがある区域」で、土砂災害が発生した場合「住民の生命または身体に危害が生ずるおそれがある区域」で「警戒避難体制を特に整備すべき土地」のことです。
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)とは、土砂災害警戒区域のなかでも、土砂災害が発生した場合「建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域」で「一定の開発行為や居室を有する建築物の構造が規制されている土地」のことです。
⑥火山ハザードマップ
多くの火山には、噴火のパターンがあり、それを調べると将来起こるかもしれない噴火を予測できます。噴火のパターンや過去の噴火歴を基に、噴火による危険が予想される範囲や避難場所などの情報を地図上に示したものが「火山ハザードマップ」です。
地震による揺れの強さや揺れによって引き起こされる、建物倒壊や液状化の危険度を地図上に表したもの。
地震時における市街地の危険性を公表、周知することにより、建築物の耐震不燃化、避難地・避難路・防災拠点の整備等防災まちづくりの一層の推進を図ることを目的としています。
重要事項説明でハザードマップの説明が義務化
説明が義務化された背景とは?
2020年8月、国土交通省は『ハザードマップの説明義務化』を施行しました。
そのため、不動産オーナーは重要事項説明の際に不動産に詳しくない一般の方に対してハザードマップを用いて購入や賃借を考えている土地の危険性を明確に説明が必要になりました。
このようになった背景として、平成30年7月の豪雨や令和元年の台風19号などで甚大な被害をもたらす大 規模水災害の頻発を受けて、不動産取引時において、水害リスクに係る情報が契 約締結の意思決定を行う上で重要な要素となっていることを踏まえ、水防法(昭 和 24 年法律第 193 号)に基づき作成された水害ハザードマップを活用し、水害 リスクに係る説明を契約締結前までに行うことが必要となってきたことから、重要事項に水害リスクに係る説明が追加されました。
水防法に基づくハザードマップとはどのようなものを指すのか?
水防法に基づく水害ハザードマップとは、水防法第 15 条第3項の規定に基づい て市町村が提供する水害(洪水、雨水出水、高潮)ハザードマップを指します。
また、水防法の規定上、平成 27 年の改正以前の水防法に基づき作成された古い水害ハ ザードマップであっても、現行の水防法に基づくハザードマップと見なされるた め、平成 27 年の改正以前の水防法に基づき作成された古い水害ハザードマップ が存在し、現行法に対応する更新がなされていない場合も、古い水害ハザードマ ップについて説明する必要があります。
重要事項説明とは?
重要事項説明とは、宅地建物取引業者が売買・賃貸契約の際に、買主・借主に対して契約に関する重要な事項を『宅地建物取引業法の第35条』に基づいて説明することです。
また、重要事項説明の際に買主・借主に対して交付する書面のことを『重要事項説明書』と呼びます。 基本的に、買主・借主は契約する物件に関する重要な情報を持ち合わせていないことがほとんどなので、買主・借主が情報不足による思わぬ損害を受けないようにオーナー(貸主)や管理会社側が説明しなくてはなりません。 さらに、説明するにあたり、重要事項の内容をすべて書面に記載し、宅地建物取引士の記名したうえで『重要事項説明書』として買主・借主に渡さなくてはなりません。
ハザードマップのメリット・デメリット
ハザードマップを見ることで、自然災害がおこるリスクが高い場所や避難場所を事前に知ることができたり、紙で印刷して防災セットに入れておくことで急な自然災害にも対応できます。
注意が必要な点は、自然災害のリスクを知るためのハザードマップですが、対応していない地域があることです。これから、調査が進むことによってこの問題はいずれ解決されると思います。