火災が起きやすい時期に学ぶ、火災に強い省令準耐火構造と断熱材について

しばらく前に、北九州市で長年、市民の台所として親しまれてきた「旦過市場」でおおよそ40店舗以上が焼けたとみられる火災が発生しました。

年中、全国で絶えない火災のニュース。

万が一の火災から家族の命を守るためには、家の耐火性が重要になります。

火災事故が増えやすいこの時期に、改めて耐火性について詳しく説明していきたいと思います。

 

<<目次>>

▶火災に強い!省令準耐火構造について

 ●特徴、認められる条件、きまりとは?

 ●メリットと注意点について

 

▶省令準耐火構造にすると、火災保険料がお得に!

 ●保険の内容は3種類

 ●木造住宅は何構造に?

 

▶ 燃えづらいCOCOONセルロース断熱材について

 ●なぜ燃えづらい?その仕組について

 ●施工方法は2つ

 


 

火災に強い!省令準耐火構造について

 

省令準耐火構造の特徴

そもそも省令準耐火構造とはどのような特徴があるのでしょうか。

特徴は3つ。

●外部からの延焼防止

隣家などから火をもらいにくくする延焼防止のための構造としています。外壁・軒裏を防火構造(30分耐火)にする、屋根に瓦やスレートなどの不燃材を使用するなどの条件はこのための仕様です。

●各室防火

火災が発生しても一定時間部屋から火を出さない構造としています。室内の天井や壁には火に強い石膏ボードなどを使用し、防火皮膜も施して、指定の性能(15分耐火)を有することで避難や初期消火を容易にしています。

●他室への延焼遅延

建物内部での延焼についてもできるだけ遅らせる構造としています。火が家全体に広がるのを抑えるため、火の通り道となる壁や天井内部にファイヤーストップ材を用いています。

 

省令準耐火構造と認められる条件

省令準耐火構造と認められる条件について説明します。

●屋根:不燃材料で作るか、葺いてある。

●外壁・軒裏:鉄鋼モルタル塗りで塗厚を20mm以上とするなど防火構造である。

●外壁の室内に面する部分:厚さ12mm以上の石膏ボード張り、厚さ9.5mm以上の石膏ボード2枚張りなど。

●外壁以外の室内に面する部分:厚さ12mm以上の石膏ボード張り、厚さ9mm以上の石膏ボード2枚張り、厚さ7mmの石膏ラスボード張り+厚さ8mm以上のブラスター塗り、防火構造。

●上階に床がない部分の天井:厚さ12mm以上の石膏ボード張り、厚さ9mm以上の石膏ボード2枚張り、厚さ9mm以上の石膏ボード+厚さ9mm以上のロックウール化粧吸音板張り。

●上階に床がある部分の天井:天井の防火被覆の耐火性能を強化する場合は厚さ12mm以上の強化石膏ボード。石膏ボード2枚張りの場合は、厚さ9mm以上の石膏ボード2枚張り、厚さ9mm以上の石膏ボード+厚さ9mm以上のロックウール化粧吸音板張り。

その他、間柱、天井野縁、ファイヤーストップ、耐火被覆材貫通設備機器、界壁/界床などについても規定があります。

 

建物の構造についてのきまり

木造軸組工法の住宅または枠組壁工法の建物であることが定められています。

木造軸組工法とは柱、梁、筋交などを用いて建てる日本古来の木造建物の工法です。また枠組壁工法とは木材でフレーム状に組んだ枠組に構造用合板などを打ちつけた壁や床を使って建物をつくる工法です。2×4工法や2×6工法が枠組壁工法に含まれます。

さらに、木質系プレハブ住宅で事前に住宅金融支援機構の承認を得た建物も該当します。ただし、同じ住宅金融支援機構が承認したプレハブ住宅でも、省令準耐火構造の仕様に当てはまるものとそうでないものがあるので要注意です。

 

省令準耐火構造のメリットと注意点

最も大きなメリットは、火事が起きた際に火が広がりにくいことです。

延焼を抑えることで、家族の命や家財道具、大切な思い出を失わずにすむ可能性が高まります。また、周囲への延焼を抑えることで、自分たちだけでなくご近所に被害を与えずにすみます。

その他に、火災保険料が割安になることもあります。

このメリットについては、次の部分で詳しく紹介します。

 

メリットが多い、省令準耐火構造ですが、注意点もあります。

1つ目にデザインの幅が制限されることです。

省令準耐火構造の承認を得るためには、構造や素材など、さまざまな条件を満たす必要があります。例えば、各室防火のために部屋を区切ることで開放感を感じにくくなったり、決められた素材を使うためデザインの幅が制限されることも。間取りや素材、デザインを自由に決めたいという方には、省令準耐火構造の基準を窮屈に感じるかもしれません。

2つ目に追加工事費用がかかることもあります。

すでにプランが決まっている住宅を省令準耐火構造にするためには、基準を満たすための工事費用が追加になることがあります。仮に省令準耐火構造へ変更し保険料が下がったとしても、トータルで見ると追加工事費用の方が高くつく場合もあるので、省令準耐火構造を検討している方は、設計段階からハウスメーカーや工務店に相談した方が良いでしょう。

 

省令準耐火構造にすると、火災保険がお得に!

 

省令準耐火構造の住宅は、一般的な住宅に比べて火災保険料を割安に抑えられます。保険の内容によっては、半額以下になる事も。火災保険料の金額は、建物の構造内容を基準に3種類定められています。

●T(耐火)構造

鉄骨・コンクリートブロック・コンクリート・石・レンガ造りの建物のほか、木造でも省令準耐火構造の基準を満たしたもの・耐火建築物・準耐火建築物を表します。

●M(マンション構造)

鉄骨・コンクリートブロック・コンクリート・石・レンガ造りいずれかの建造物で、耐火建築物と認められた共同住宅です。T/H構造よりも保険料を安く抑えられる傾向にあります。

●H(非耐火)構造

T/M構造と比較して火災のリスクが高い木造物件のことです。

但し木造物件でも省令準耐火構造の基準を満たしていれば、T(耐火)構造の評価を得られます。

 

省令準耐火構造の住宅は「T構造」とみなされます。T構造はコンクリート造、コンクリートブロック造などと同じ構造区分です。また、準耐火構造、耐火構造の住宅も同じT構造です。一方、通常の木造住宅は「H構造」となります。

 

燃えづらいCOCOONセルロース断熱材について

 

セルロース断熱材とは、リサイクル新聞紙を粉砕し綿状にし、防火・防虫・防カビ用にホウ酸末、沈下防止用にでんぷん糊粉末が添加したものです。

ホウ酸添加をすることで、防火につながることについて詳しく説明すると、ホウ酸の力で、表面は焦げますが火が内部へ入らないため、燃えることはありません。

この原理ですが、焦げることにより、表面が炭化し、22%~55%も防火力が向上するためです。

 

防火の他にも、吸音性能、調湿性能、断熱性能が高く、数ある断熱材の中でも、優れたものとなっています。

 

施工方法

施工方法は2つ。

①スプレー施工方式

米国で一般的な方法で、噴霧しつつ壁に充填します。 でんぷん糊で沈下防止をします。

平らな天井にも最適な方法です。通常、施工後数年で厚さが半分にもなるのに、この方法では施工後の沈下がありません。

②ネット充填方式

壁にネットを張って穴をあけて注入充填します。

勾配天井への充填にも使われます。

 

ザハウスの家ではCOCOONのセルロース断熱材を使用しています。

ぜひ、皆様に火災にも強く、外気に影響されない心地よい家を体感していただきたいです!

 

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