家族だけでなく、お客様も出入りする玄関は家の印象を決める重要なポイント。しかし実際に、家づくりの計画が始まるとついついキッチンやリビングなどに意識が向いてしまって玄関計画は後回しになってしまいがち。
後から「もっとこうすれば良かった!」という後悔がないように、ここでは失敗しない家づくりの玄関計画のコツをご紹介します。
■ ポイント①収納
玄関になるべく収納スペースを確保するのがおすすめ。靴だけなく、ご家族の趣味やお子様の成長後などまで見据えて計画していきましょう。
また、靴収納についてはたたきに置くのか、玄関ホールに置くのか、玄関ホールとたたきをまたぐ形で置くのかによって、玄関の使い方が変わってきます。たたきに置く場合は靴を取り出す際にたたきに降りなければいけない。玄関ホールに置く場合は、靴についた土や泥が床に落ちやすい。そういったことまで考慮して玄関収納を計画しておくと、後々の「困った!」を減らせます。
他に、傘を置いたり、スリッパを置いたり、など靴以外の収納するモノについてもきちんと把握しておくと失敗を減らせます。
■ ポイント②照明
玄関は家族だけでなく、お客様も出入りする場所だから、玄関の照明は実用性とオシャレさを兼ね備えたものにするのがポイント。そこでおすすめなのが人感センサー付きの間接照明。人感センサーがあれば、夜に帰宅して真っ暗の中でスイッチを探す手間もなくなり便利です。また、足元をほのかに照らす間接照明ならではの美しさやデザイン性を取り入れることができます。
余談ですが、アクセントとして窓を設けるのもおすすめです。外の景色を採り込んでヌケ感を出すことで圧迫感の玄関まわりに。四季折々の情緒も感じられます。
収納下に設けた間接照明が放つやさしい光
玄関に設けた大きな窓でほど良いヌケ感をプラス
■ ポイント③玄関ドア
玄関ドアに使う材料や形状はさまざまです。デザインを選ぶ楽しみはありますが、その分、間違ったセレクトをしてしまいがちなので注意が必要。
まず材料はアルミ製、ガラス製、スチール製、無垢材などが挙げられますが、デザイン性だけでなく断熱性やメンテナンス性など幅広い視野で考える必要があります。特に、無垢材のドアは味わい深く重厚感のある雰囲気を醸し出せますが、気温や湿度によって反りなどが起こる場合があります。
また、形状としては片開き、両開き、引違い戸、引き戸などがあり、年齢を重ねてもラクに開閉できるのは引き戸など、それぞれにメリット、デメリットがありますので、特徴を考えて選ぶことをおすすめします。
無垢材をつかった重厚感のある開き戸
スチール製のソリッドな雰囲気の引き戸
■ ポイント④その他
◇ 玄関たたきの材料
「土足で出入りするのに汚れが目立ちやすい色やタイルを使用してしまって、掃除が大変・・・」なんてこともよくある失敗例です。特にたたきに関しては、濡れた長靴や泥がついた靴などで出入りすることもありますので、清掃性を考えて材質を選びましょう。
◇ 可変性
一生を過ごす家だから年を重ねても安心して暮らせる家であることが重要。実際、玄関は、転倒など高齢者の室内での事故が浴室と並んで多く見られる場所でもあります。そのため、ある程度は年齢に応じてリフォームできるような可変性を持たせた設計をしておくと安心です。
例えば、玄関の周囲の壁に手すりをつけられる余裕を残しておいたり、車椅子でも出入りができるようなスロープを付けるストロークや通路幅を確保しておくことなどが考えられます。
◇ 玄関の広さ
土地の広さや間取りの関係で玄関に十分な広さを確保することが難しい場合もありますが、妥協してしまうと使い勝手が悪く、不満が募りやすい原因に。前述したような家族の靴がすべて納まるような収納スペースを取りながら、2人以上の人が横に並んで靴を履ける広さをつくることがベストです。玄関の面積をどうしても大きく取れない場合は、横幅を広く取れる向きに玄関を設けると多少は広く感じられます。
◇ 玄関の方角
玄関をどの向きにするかはそれぞれのメリット、デメリットを踏まえた上で決定しましょう。例えば、南向きの玄関は日当たりの良さが魅力。冬場なら比較的暖かさを保てて良いですが、夏は直射日光が当たって玄関ドアが劣化しやすくなるため直射日光を避ける工夫が必要になってきます。
一方で、玄関を北側に置くと、南の日当たりの良い部分にリビングや個室を配置しやすく道路から見えないところに広い庭を確保しやすくなります。「この方角が良い!」と一概には言えないので、なるべくメリットを生かしてデメリットを解消できる工夫を施せる方角を選ぶのが良いです。
■ 玄関の吹き抜けはOK?NG?
玄関に吹き抜けを設けると光が射し込んで明るくなり、開放感が生まれるというメリットがありますが、すべての住宅に当てはまるとは限りません。まず、吹き抜けを設ける場合は、それ以外の部分で生活スペースを十分に確保できていることが大前提。
また、設置の仕方によっては住み始めてからのメンテナンスが大変になる場合あるので、あらかじめ吹き抜けに設置する照明は長持ちするLEDのものにしたり、冷暖房の効率をよくするために断熱性能の高い材料を取り入れるなどの工夫もあわせて考えておくと良いです。
今回のコラムではついつい後回しにされがちな玄関計画で失敗しないための4つのポイントについてご紹介しました。4つのポイントに共通して言えることは実際に住むことをイメージして計画を立てることです。こだわりの注文住宅を建築するのですから、可能な限り快適で住みやすいお家を目指しましょう。