住宅の省エネ化は必須対策!2025年適合義務化と新基準について解説します!

脱炭素社会に向けていよいよ10月から省エネ性能の認定基準が変更されました。2025年には省エネ基準への適合が義務化されます。これまでオフィスビルなど一部の建物が対象とされていましたが、2025年度以降は、住宅を含む全ての新築の建物が断熱材の厚さや窓の構造などの基準を満たすことが求められるようになります。2030年には義務化の基準がZEH基準レベルへ引上げられる予定であり、建築物分野での省エネ対策が加速しています。

 

 

<<目次>>

▶省エネ基準とは?

 ●外皮性能

  -UA値(外皮平均熱貫流率)

  -ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)

 ●一次エネルギー消費量

 

▶省エネ住宅の種類

 ●ZEH住宅

 ●LCCM住宅

 ●認定長期優良住宅

 ●認定低炭素住宅

 ●性能向上計画認定住宅

 ●スマートハウス

 

▶2022年10月からの改正点

 ●住宅性能表示基準の新設

 ●各認定制度の基準強化

 

▶省エネ住宅のメリット

 ●家計に優しい

 ●健康に良い

 ●1年中快適な居住空間

 

▶省エネ住宅に関する補助金

 ●こどもみらい住宅支援事業

 ●ZEH支援事業

 ●域型住宅グリーン化事業

 

 

▶省エネ住宅に関する減税

 ●所得税

 ●固定資産税

 ●不動産取得税

 ●登録免許税

 


 

省エネ基準とは?

 

省エネ基準とは、国が定めた「省エネルギー基準(平成28年度基準)」のことを言います。この基準をクリアできない不適合住宅は今後新築することができなくなります。新築住宅の「省エネ義務化」というテーマは最近急に出てきたものではありません。元々は2015年から義務化される話で2013年くらいから検討されていましたが、対応できない工務店などの業界団体から「まだ早い」「景気が後退する」などと反対され見送られていました。省エネ基準への適合義務化が見送られた代わりに、建物が省エネ基準に適合しているかどうかの「説明」が義務化され、説明義務制度は2021年4月から施行されています。

今回、2050年「カーボンニュートラル」という目標に向け、SDGsの大きな流れもあり、ようやく省エネ基準の適合義務化がスタートすることになったのです。新築で住宅を建てたいと考えている方は、省エネ対策は必須の対応になります。

 

省エネ性は「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」のふたつの指標で評価されます。

 

 

外皮性能

外皮性能とは、建物の外回り(壁・床・天井・窓など)の省エネ性能のことです。外皮性能は外皮平均熱貫流率「UA値」と冷房期の平均日射熱取得率「ηAC値」で見ることができます

 

「UA値」は、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値です。数字が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことを示します。

 

「ηAC値」は、窓から直接侵入する日射による熱と、窓以外から日射の影響で熱伝導により侵入する熱量を冷房期間で平均し、外皮面積の合計で除した値です。値が小さいほど住宅内に入る日射による熱量が少なく、冷房効果が高くなります。

 

外皮性能が高くなると、外の気温に左右されにくくなり、冷暖房も少ない稼働で効きやすくなるので、快適な住環境が実現できます。南北に長い日本列島では、沖縄のような温暖な地域と、北海道・東北地方のような寒冷地とでは、必要な断熱や日射遮蔽の性能が大きく違ってくるので、この「UA値」「ηAC値」は、全国を8つの地域に区分して、それぞれ基準値が設けられています。

 

 

THE HAUSの建築エリアである大分県中津市・宇佐市・豊後高田市、福岡県北九州市・行橋市・豊前市・苅田町・みやこ町・吉富町・上毛町・築上町は全て「6地域」に該当し、UA値は0.87W/㎡K、ηAC値は2.8とされています。

 

 

一次エネルギー消費量

化石燃料、原子力燃料、水力、太陽光など自然から得られるエネルギーを「一次エネルギー」、これらを変換・加工して得られるエネルギー(電気、灯油、都市ガスなど)を「二次エネルギー」といいます。家の中では電気やガスなど二次エネルギーが多く使用されますが、計量単位がそれぞれ異なるため、「一次エネルギー消費量」という統一の単位に換算し総エネルギー消費量を求めます。

省エネルギー基準で定められた「基準一次エネルギー消費量」と比較して、どの程度消費するエネルギーを削減できるかを確認し、削減できる値が大きいほど省エネ性能が高いと言えます。この「基準一次エネルギー」については、床面積などの条件や使用する設備機器の種類等様々な条件によって決まるので、UA値やηAC値のように基準値が一定ではなく、同じ地域区分に建築する住宅でも基準値が変わります。

 

省エネ住宅の種類

 

ZEH住宅

ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略。省エネと太陽光発電などの創エネによって年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロ以下にする住宅のことです。通常のZEHに加えて、ZEH+やZEH+Rなどの基準もあり、それぞれ補助金額が異なります。THE HAUSでもZEH住宅を推進しており「ZEHビルダー」の認定を受け、2025年度に50%のZEH住宅を普及させることを目標としています。

 

LCCM住宅

LCCM(エルシーシーエム)とは「ライフサイクルカーボンマイナス」の略。ZEH住宅が住宅に住んでいる間の一次エネルギー消費量をゼロ以下にするのに対して、LCCMはZEHの考え方に加え、住宅の建築から解体まで「家の一生」を通して二酸化炭素の収支をマイナスにすることを目的としています。

 

認定長期優良住宅

長期優良住宅とは、長く安心・快適に暮らせる家として「長期優良住宅認定制度」の基準をクリアし、認定を受けている家のことをいいます。認定項目には省エネ性だけでなく、「バリアフリー性」「可変性」「耐震性」「居住環境」「維持保全計画」「維持管理・更新の容易性」「劣化対策」「住戸面積」といったものがあります。

 

認定低炭素住宅

認定低炭素住宅とは、省エネ性能を備えていることに加えて二酸化炭素の排出を抑制する低炭素化促進のための対策がとられている必要があります。長期優良住宅に「劣化対策」や「耐震性」など複数の認定項目があったのに対し、低炭素住宅の認定項目は「省エネルギー性」と「省炭素化のための措置」のみとなっています。

認定低炭素住宅についてはサスティナブルな家づくりを考えるこちらのブログでも紹介しています。

 

性能向上認定住宅

あまり聞き慣れない「性能向上計画認定住宅」という言葉ですが、こどもみらい住宅支援事業では長期優良住宅、低炭素住宅と共に補助金の対象とされています。高い断熱性を備え、太陽光発電設備や蓄電池設備などの高効率な設備などを導入している、など基準に達していて、法律に基づき認定された住宅をいいます。さらに、エネルギー消費性能向上のための建築物の新築等を確実に遂行するための資金計画が適切であるということも認定基準の一つです。

 

スマートハウス

スマートハウスとは、家庭内の照明、空調設備、調理設備、家電、給湯機器などを、コンピュータやデータ通信といったITを使って管理・制御し、エネルギー消費を最適化する次世代住宅のことです。スマートハウス自体に厳密な定義や必須の機器があるわけではなく、設置される装備などは住宅会社によって異なるのですが、欠かせないのが「HEMS」というシステムです。庭内で使用される電力、ガス、水道といったエネルギーの消費量や利用状況をパソコンやその他の端末を使って「見える化」し、エネルギー消費を最適化する「制御」を行う役割を担います。

「HEMS」は行橋市西泉平屋モデルでも導入しております。ルームエアコン、エコキュート、照明でIoT機能が体感できます。

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2022年10月からの改正点

住宅性能表示基準の改正点

住宅性能表示制度は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづいて、断熱性能のほか耐震性や維持管理など10項目に等級を設けて、住宅取得者に分かりやすく伝えるものです。これまで断熱等級は5段階の等級で評価されていましたが、等級6・7が新設されました。省エネ基準に該当するのが等級4、ZEH基準が等級5、その上位等級の6、7はHEAT20のG2、G3相当とされています。

 

 

HEAT20とは、一般社団法人「20年先を見据えた日本の高断熱研究会」が設定した民間の基準で、今までも住宅の高断熱化を目指す住宅会社が断熱の目安として採用していました。今回このHEAT20の高い断熱性能の基準が国の基準として認められました。

 

各認定制度の基準強化

 

認定住宅において、省エネ性能はZEH水準の「断熱等級5」「一次省エネ等級6」が今後ベースとなります。今まで長期優良住宅では、一次エネルギー消費量性能を求められていませんでしたが、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、高い一次エネルギー消費量性能も含めた高い省エネ性能を求められるようになりました。 その他の改正点として、長期優良住宅では、壁量基準が「耐震等級3」に引き上げられました。省エネ性能の基準が上がり、建物が重量化しても耐震等級3相当の基準が満たされていれば、長期優良住宅が求める性能を有する見込みです。 低炭素住宅では再生可能エネルギーの導入に関する要件が設けられ「太陽光発電」が義務化されました。一戸建ての住宅では、省エネ量と創エネ量(再エネ)の合計が基準一次エネルギーの50%以上であることとされ、ZEHの約半分程度の太陽光が必要だと考えられています。

 

 

省エネ住宅のメリット

地球環境のためだけでなく住む人にとっても省エネ住宅はメリットがたくさん!まずは「光熱費が節約できる」ということでしょうか。断熱性能が高く外気の影響を受けにくいため、冷暖房費を抑えることができます。また断熱性能が高いと結露の発生を抑えることができるので、喘息の原因となるカビやダニの発生を防ぎ、健康に良い影響を与えます。家の中の温度差がなくなるので一般住宅でよくある「キッチンの足元が冷える」「トイレや廊下、お風呂が寒い」といったお悩みも解決できます。健康的な生活が送れるので医療費の削減にも繋がりますね。

 

 

 

省エネ住宅に関する補助金

省エネ住宅で受けることができる代表的な補助金は下記の通りです。

 ●こどもみらい住宅支援事業

 ●ZEH支援事業

 ●地域型住宅グリーン化事業

省エネ住宅を推進するための誘導策が数多く実施されています。活用できるものはもれなく活用しましょう!コロナ禍やウクライナ侵攻などの影響により住宅も値上がりしていますが、うまく補助金制度を活用していただければと思います。活用できる補助金についてはこちらのブログもご覧ください。

※10からの省エネ性能の認定基準変更に伴い、こどもみらい住宅支援事業において、10月1日以降に新基準で認定を受けた「認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・性能向上計画認定住宅」は補助額が80万円から100万円に増額されています。

 

省エネ住宅に関する減税

 

一定の条件を満たせば、省エネ住宅に関連して税金の優遇が受けられます。

 

所得税

住宅ローンを利用して住宅を取得・改修した場合、低炭素住宅・長期優良住宅で最大500万円の所得税控除が受けられます。住宅ローンを使用せず自己資金により住宅を取得・改修した場合は低炭素住宅・長期優良住宅ともに最大65万円の減税となります。

 

登録免許税

低炭素住宅・長期優良住宅の場合、所有権保存登記の税率が0.4%から0.1%に減税されます。

 

固定資産税

長期優良住宅の場合、5年間税額が1/2に減税されます。

 

不動産取得税

住宅購入や不動産を取得したときに課される不動産取得税ですが、新築住宅の場合固定資産評価額から1200万円が控除されるのに対して、長期優良住宅では1300万円が控除されます。

 

 

これから新築住宅を検討している方にとって必須となる省エネ対策。2025年までは省エネ基準に適合していなくてもOK!ではなく、この先の人生を長く快適に住み続けられるよう、地球環境や家計、健康にも優しい省エネ住宅の計画を進めませんか?これからの家づくりは省エネ住宅の設計に慣れていて、しっかりとサポートしてくれる会社にご相談されることをおすすめします。満足度の高い家づくりのためにまずは、お気軽にご相談ください。

 

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